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すばらしいこと ~造船3~ [ボート競技]

最近、日が暮れるのが早いですね。日没は19時前くらいでしょうか。
ダムの湖面は一切明かりがないので月明かりが頼りです。
昨日は夕方から降り始めた雨で、月もなし。
山の向こうにぼんやりと光る今治市の街明かりが頼りでした。
こんな日は、感覚が冴え渡りますね。船の動きやオールと水の感覚を敏感に感じます。
水の上に浮いていることを忘れてしまいそうでした。

さて、すばらしいこと。スイスの造船所スタンフリーのつづきを。。。

実は私、スタンフリーとはご縁があります。ボート競技を始めて、初めて乗った外国艇がスタンフリーでした。
当時、私の大学にはレース艇がなく、たまたま外国艇を持っていたOBの方にお願いして借りたのが
スタンフリーでした。「日本に4艇しかない貴重な船」ということと、
日本のボート界の第一人者、武田大作選手が日本代表の選考レースで
使用したという逸話を聞かされ、半年間大事に使わせていただきました。
もちろんその船で、全国大会にも初出場。思い出の船です。
そういえば、ドラマ「がんばっていきまっしょい」においても
ボート部のコーチ役の人がこのスタンフリーに乗っていましたよ。


メルクさんの講習はカーボンの現代的ボートとウッド(木製ボート)の比較で始まります。
メルクさんの話を一部抜粋。

カーボンのボートは造ろうと思えば30時間でつくることができる。
但し、船の型を造ることがが必要。
木製ボートは急いでも100時間は必要である。
それはニスを塗る作業でその大半の時間を使用するからである。
木製ボートはニスを塗って自然乾燥させる為、
約22度~24度の外気でゆっくりと乾燥させ硬化させていく。この作業が船の良し悪しを決める。

カーボンボートはこの乾燥という作業を
130度~140度のオーブンで焼いて硬化させる為、時間が短くてすむ。
そのうえ同じ型で、同じ温度管理でボートを硬化させる為、ほぼ同じものを製造できる。
つまり船の良し悪しはほぼ生まれることはない。

ちなみにメルクさんいわく、これら製造から硬化までの一連の作業を「クッキング」すると言う。

日本で自然乾燥の船はなかなか難しそうですね。
なにせ日本は四季の移り変わりがあり、寒暖の差が大きい。
また、湿度が高いですからね。船の良し悪しを決める乾燥の作業には不向きなのではないでしょうか。

造船にとって湿度は大敵です。特に塗装作業は湿度があるとなかなかはかどりません。
以前、塗装Tの友人が梅雨時は仕事にならないなんてぼやいてました。

次に、ウッドスティーミングという作業を見せてもらいました。

これはいわゆる「曲げ」の作業である。
写真を見てもらえば分かるように、表面を水で濡らし、裏面に熱を与えます。
この作業では、裏面の方に熱をあてるとことによってドライになり収縮し、
水で濡れている方が膨張します。こうやって木材を曲げていきます。
これは実験用に船の一部を使ったものですが、
実際は一人乗り(約8m)の船を途中でつなぐことなく一枚木で曲げていくとの事。

・・・驚きです。

ちなみに、弊社にて建造している大型船においても同じ作業をします。
もっとも曲げる物が「鉄」か「木」かの違いですが。
特にバルバスバウと呼ばれる船首付近の曲げは高度な技術と熟練工の技を必要とします。

そういえば何処かの艇庫で「かいじ」という木造艇を見たことがあります。
今から30年くらい前の国体で使用されたようで。。。
もしかして「甲斐の国」で造られた船だから「かいじ」でしょうか(汗)

つづく。。。


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コメント 2

きこり

こんにちわ、きこりです。海外遠征おつかれさまでした☆


>そういえば何処かの艇庫で「かいじ」という木造艇を見たことがあります。
>昔の静岡国体で使用されたようで。。。

かいじ=甲斐路っぽいですね!
おっしゃるとおりボートが木製とのことですから、
木が育ったところが甲斐の国(山梨県)なのかもしれませんね。



>ちなみに、弊社にて建造している大型船においても同じ作業をします。

タンカーなどの大きな船と比べると、
ボートは小さな乗り物でしょうが、小さくてもやっぱり「船」・・、
船を造っていくプロセスは大きくても小さくても一緒だと思うと、
あの大きな船もちょっと身近に感じます。
by きこり (2007-09-06 10:05) 

ネネ

きこりさんお久しぶりです!

>タンカーなどの大きな船と比べると、
>ボートは小さな乗り物でしょうが、小さくてもやっぱり「船」・・、
>船を造っていくプロセスは大きくても小さくても一緒だと思うと、
>あの大きな船もちょっと身近に感じます。

私もそう思いました。
実際に船ができあがっていくのを見て、触れてみたら、私が乗っているボートも鉄板でできあがってる船もすごく身近に感じれるようになれました。
船だけじゃなく、この世に”物”がありふれてますが、すべて人間の手によって作られたのだなと思うと、本当にすごい事だなと感動しました。
by ネネ (2007-09-11 13:58) 

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